岩松 暉著『二度わらし』39
大学らしい授業
民間会社には人事考課というものがある。上役が部下を評価するのが一般である。かつて教員の勤務評定を巡って日教組と文部省が激しく争った。大学には自治があるのが建前だから、あからさまな勤務評定はない。代わって自己評価が行われる。大学によってはアメリカのように学生による授業評価を実施しているところもある。普通、評価を受けるか否かは教員の自由意志である。私の友人が実施に加わった。「大学らしい授業だったかどうか」という項目に対して、彼の評価は非常に低かった由。そこで「大学らしい授業とはどんな授業か」別にアンケートを取ってみたという。答えに曰く、
- 大教室での授業
- 休講が多い
- 先生は遅く来て早く帰る
- 出席をとらない
- 居眠りをしても注意しない
- 当てない(指名してやらせないの意)
- 宿題を出さない
- 試験でなくレポート
などなど。なるほど、教育熱心な彼のことだ、評価が悪かったのは当然である。しかし、学生の意識が低いと笑えない。大学の教育の現状に対する痛烈な批判でもある。
(1999.2.3 稿)
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更新日:1999年2月4日