岩松 暉著『二度わらし』1


二度わらし

 「今年は寅年、今日還暦を迎えました。東北では還暦を迎えた人を二度童子(わらし)と言います。無垢な童子に戻って、もう一度新たな人生を生きるとの意味でしょう。私はこの言葉が好きです。」
 1998年の年賀状にこのように書いた。学生時代から数えれば大学生活40年、鹿大に転勤して来てから20年を超えた。いささかマンネリのきらいがある。ここで心機一転しようと、決意表明のつもりで記した。
 先年、テレビでこの言葉を久しぶりで聞いた。泥亀先生こと高橋東大名誉教授(元北海道演習林長)の退官後の生活を追った番組である。童心に返り、森の木々と対話しておられる。うらやましい限りである。私も田舎育ち、本当は還暦を機に田舎に引っ込んで悠悠自適・晴耕雨読を決め込みたいのだが。


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更新日:1998年5月8日