本の紹介:徳橋秀一編著『ご地層の話―地層観察・地質調査・露頭保存の重要性を唱えつつ―』

岩松 暉(応用地質, 2011)


 バブル崩壊により会社ではOJTをやるゆとりがなくなった上、最近、団塊の世代の退職に伴い、技術の伝承が喫緊の課題になっている。大学もまた同様、フィールドジオロジストを育てていない。こうした情勢を受け、著者は、学生・院生等を対象にした現場見学会、会社の若手技術者を対象にした地質の調査研修を毎年実施している。その記録が『地質ニュース』に掲載され好評を博した。本書は「タービダイトの話」につづくその復刻版第2弾である。コンピュータのお遊びから、もう一度地質学の原点に立ち戻るべきではなかろうか。学生さんや新入社員の必読書であり、社内教育の絶好の教科書となろう。なお、著者は露頭保存の重要性についても力説しておられる。

第1部 ご地層探訪編―韓半島~国境の島のご地層巡り―
第1話 韓半島南部縦断地質巡検記
第2話 韓国南東部第三紀ポハン堆積盆に発達する中新統トウムサン ファンデルタの堆積物と堆積様式
第3話 国境の島,対馬の対州層群を訪ねて
第2部 古典的地質調査法伝承編―伝承の内容と伝承の実践例―
第1話 地質調査および層序学的・堆積学的研究におけるテフラ鍵層の積極的活用のすすめ―その1
第2話 地質調査および層序学的・堆積学的研究におけるテフラ鍵層の積極的活用のすすめ―その2
第3話 3年間(2007-2009)の地質の調査研修を振り返る!
第3部 アラカルト編―学会における普及活動の現場から―
第1話 新潟県と石油・天然ガス
第2話 タービダイトの話
第3話 日本堆積学会2007年つくば例会を振り返って

実業公報社 B5判 204頁 本体価2,400円 2011年4月刊


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更新日:2011年9月日