岩松 暉著『地質屋のひとりごと』

大学・学問・学生 18


推薦図書『はみだし教師と学生が燃えて』

岩松 暉(理学部 応用地質学)
 環境・災害・建設といった社会のニーズに地質学の立場から貢献できる学問を創造しようと模索中。その他,地下深部で断層や割れ目ができる様子を知るために,高圧下での岩石破壊試験をファイバースコープで観察している。ある学会で「割れ目ちゃんを覗いているノゾキの先生」などと紹介された。
著作 『断層調査法』・『地質構造の科学』・『地質構造の形成』など。
趣味 趣味も実益も山(フィールド)を歩くこと。絵本・童話・民話を読む。
出身地 新潟で出生,台湾で育つ。   血液型 A型。
学生へ一言
ケージの中のブロイラーから樹上でときを告げる薩摩鶏へ。野に放たれたブロイラーは飛び回ることも虫をあさることも知らず飢えるという。そのような人間になって欲しくない。主体的に新しい地平を切り開ける人間たれ!
『はみだし教師と学生が燃えて―地域調査ゼミ15年の歩み―』
深井純一・立命館大学産業社会学部深井ゼミナール編
文理閣/4,326円(本体4,200円)

 著者は私の学生時代の寮友である。学生時代からバイタリティーに満ちあふれたエネルギッシュな男だった。当然,おとなしい受け身の学生にあきたらない。そこでゼミの募集要項に「はみだし者・変り者あつまれ」と書いた。ゼミ是は「よく学び,遊び,呑み,交流する」の4つである。これに応えて集まった学生達と先生が,農村など生きた現場で地域の人達に学び,互いに裸でぶつかり合い成長していく。本書はゼミの卒業生・在学生の感想を中心に,彼らが集団で作り上げた労作(調査報告書の例)からなっており,「行動の中で主体的に学ぶ」姿が生き生きと描かれている。大学はレジャーランドでもないし,死んだ教条を詰め込む就職予備校でもない。真の大学とは,真の学問とは,を知る好著であろう。大学で青春を「燃やしたい」学生に一読をお勧めする。

(1990.3.15稿 鹿児島大学生協『本の宝箱』, 25-26, 1990 掲載)


ページ先頭|地質屋のひとりごともくじへ戻る
連絡先:iwamatsu@sci.kagoshima-u.ac.jp
更新日:1997年8月19日