日本応用地質学会九州支部創立20周年に当たって

日本応用地質学会九州支部創立20周年記念総会支部長挨拶 1998.5.15


 本支部創立20周年のよき日に当たり一言ご挨拶を申し上げます。図らずも20周年という記念すべき総会を主催する栄誉を得ましたことを光栄に思っております。ただ、初代支部長の山崎先生、2代目の山内先生、3代目の高橋先生、4代目の相原先生と大物支部長が続いておりましたのに、私の代になって急に小粒になったのを申し訳なく思っております。しかし、大物支部長がぐいぐい引っ張っていった時代から、吹けば飛ぶような支部長でも、若手の幹事さん中心に立派に運営されている時代になったと、前向きに考えればよいのではないかと思います。実際、20年前には200人でスタートした当支部も現在では500人の会員を擁する大支部に発展しております。ここまで発展してこれましたのも、先人のご努力の賜物と深く感謝している次第です。一方、大きくなった組織を切り盛りするのは、組織を大きくする以上に大変なエネルギーがいります。現在20周年記念事業にご苦労しておられる幹事さんたちにも謝意を表したいと思います。
 さて、世は金融ビッグバンや自動車会社の大型合併など激動の時代に突入しています。私たちに関係の深い土木建設業でも、21世紀を目前にして動乱の波が押し寄せようとしています。学問的にも地質学は曲がり角に来ております。そうした中で私たちの九州支部は次の30周年を目指さなければなりません。考えてみますと、明治維新の例を引くまでもなく、九州人は激動の時代には強いのです。わが国の地質学はナウマンから始まったかのように教科書には書かれていますが、実際には幕末に密航して欧州に留学した薩摩藩渡欧留学生の中に朝倉盛明という鉱山地質家がおりました。現在でもわが国最古のクリノコンパスは鹿児島の尚古集成館に残っております。近代地質学は九州から始まったのです。21世紀の新しい応用地質学は、土木地質も環境科学も包括した地球工学といった大きなものになるかも知れません。幸いわが九州支部はいわゆる地質屋だけでなく、工学・農学系の方々も半数近くいる学際的な構成になっております。時代を先取りした異業種交流が盛んです。新しい時代の応用地質学を担う人材は九州から生まれるのではないかと期待しております。また、21世紀は地球時代であると共にアジアの時代でもあります。現在アジアの経済は苦境に立たされているとはいえ、世界人口の半数を抱え、世界の成長センターになることは間違いありません。その点で九州は地の利を得ています。インドネシアやフィリピンなど火山国であると同時に亜熱帯でもあり、九州と同じ地質学的風土にありますから、私たちの培ってきたノウハウが直接役立ちます。PKOだけが国際貢献ではありません。応用地質学や地質調査業が貢献できる道はたくさんあると思います。公共事業が縮減されて大変だと小さなパイを奪い合っていがみ合うより、目を大きく海外へ向けましょう。30周年記念総会では、東南アジアの方々の姿が大勢見られるようにしたいと考えます。
 最後に、次の30周年には会員数を300人、賛助会員の口数を30口増やすことを目標にしたいと思います。333運動です。よろしくお願いいたします。
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更新日:1998年5月15日