市営住宅/剪定/相馬藩世紀/養護学校/西之谷ダム/気仙沼大島/山奈宗真/統一地方選/新緑/ツツジ/新燃岳/えびの高原/布引の滝/高田屋嘉兵衛/年々歳々花相似/横川物産館/岩ツツジ山/サイボーグ/音楽三昧/故郷忘じ難く/シャンプー

鹿児島のご隠居(2011.04)


★市営住宅

 昨日今日と20度以上の日が続いている。わが団地は標高100mを超すシラス台地上にある。ようやく桜が咲き始めた。規格にはまった殺風景な市営住宅だと思っていたが、こうしてみると結構桜が多い。路傍にはスミレが咲いていた。(2011/4/1)

★剪定

 庭の椿が伸び放題に伸びていたが、つぼみを持っていたので、可哀想だから咲くまで待っていた。そろそろ季節が終わったので剪定してみた。こちら側から見て丸くても、違う側から見ればいびつである。それに近くだと全貌が分からない。誰か別の人が傍らから見て指示してくれないと難しい。自己を客体視するのが難しいのと同じだ。(2011/4/3)

★相馬藩世紀

 南相馬市在住の知人から『相馬藩世紀』のコピーを頂戴した。相馬中村は今年が開府400年という。相馬利胤が小高城から移ってきたのが1611年(慶長16年)のことである。ちょうどその年の10月28日の項に「海邊生波ニ而相馬領ノ者七百人溺死」とある。慶長三陸津波の時に相馬藩でも犠牲者が出ていたのである。仙台平野から福島県北部にかけて6~8mの津波が押し寄せたらしい。ちなみに福島原発のある大熊町は相馬領である。福島第一原発では、チリ地震津波をもとに5.7mと想定されていたらしい。なんたることか。(2011/4/3)

★養護学校

 今日は快晴、午前中は三陸海岸のweb-GISを作っていたが、午後から散歩に出かけた。久しぶりに西之谷に向かう。武岡台養護学校に見事な桜並木があるとは知らなかった。ちょうど桜島が噴煙を上げていた。(2011/4/5)

★西之谷ダム

 シラス台地を西之谷まで下る。途中、ウグイスが良い声で鳴いている。西之谷ダムは完成寸前である。今年の梅雨までには完成して、洪水防止機能を果たすのだろうか。行きはよいよいだが、帰りにシラス台地に登るのは大変、一汗かいた。(2011/4/5)

★気仙沼大島

 私の卒論フィールドは気仙沼である。今回も津波で被害を受けたところだ。心が痛む。気仙沼大島を歩いていたとき、漁師の方から、「昔、この峠を津波が越えたことがあると伝えられている。海岸線を調査しているようだが、地震があったら、この峠より高いところへ逃げるように」と言われた。標高16mの低い峠である。古文書にも記録はなく、伝説らしい。ところが、今回現地調査に行った方からのメールによると、実際に田中浜から浦の浜へ、この峠を津波が越えたという。いかに巨大な津波だったかが分かる。となると、この伝説も真実味を帯びてくる。貞観津波か慶長津波のときに、実際に越したのかも知れない。(2011/4/6)

★山奈宗真

 山奈宗真は明治三陸津波後数ヶ月をかけて岩手県の海岸を調査し、『三陸大海嘯岩手県沿岸見聞誌』を著した。明治三陸大津波の貴重な記録である。友人から「山奈宗真に学び約1カ月かけて全域踏査」とのメールが届いた。明治時代と違って車が使えるにしても、道路はまだ復旧していないところも多い。すごい企てだ。無事完成したら壮挙である。Web-GISでデータベースを作る仕事を手伝うことにした。(2011/4/8)

★統一地方選

 国民の目が大震災や原発事故に向いたためか、統一地方選挙がかすんでしまった。わが家の前の中学校も投票所だが、いつもは車が頻繁に来て危なかったのに、今回は少ない。都知事選も直前まで出馬表明をしなかった現職知事が大差で早々と当選を決めた。恐らく震災対策などの公務で何も選挙運動をしなかっただろうに。(2011/4/10)
 その後、選管から県議選最終投票率が発表された。53.23%で3回連続過去最低を記録した由。やはり。

★新緑

 わが家の紅葉も剪定しないうちに気づいたら新緑になっていた。美しい。こうなると切るのはかわいそうな気もする。庭仕事をサボる口実か。(2011/4/10)

★ツツジ

 鴨池まで行く用事があり、久しぶりにシラス台地から下界に降りた。やはり暖かいのか、街路のツツジが咲いていた。わが団地はまだである。(2011/4/12)

★新燃岳

 今日は雲一つない快晴、入山規制が緩和されてえびの高原まで行けるようになったので、久しぶりに霧島に行くことにした。さすがに高原、霧島自然ふれあいセンター付近で2度目のお花見をした。しだれ桜が見頃で、八重桜はまだこれからのようだった。新燃岳が白い噴煙を上げていた。(2011/4/14)

★えびの高原

 えびの高原は閑散としていた。駐車場もがら空き。例によって不動池から六観音御池まで散歩したが、あまり小鳥の声もしない。噴火で逃げたのかなどと思った。しかし、下界に逃げたと伝えられていた鹿は国民宿舎周辺で枯草を食べていた。ホテルの温泉は最初から最後まで私一人、空っぽのサウナでテレビがマンガアニメをやっていた。温泉はただで湧き出してくるが、サウナのボイラーはやはり重油を使っているのだろう。折角、新幹線が全通したというのに、何とも気の毒だ。やはり登山禁止がひびいているのだろうか、震災による自粛ムードのためだろうか。(2011/4/14)

★布引の滝

 大学時代のクラス会があった。今年は関西、六甲ロープウェイの中間駅から断層などを見ながら山を下る。後鳥羽院や在原業平など有名歌人の歌碑があちこちにある。古くからの景勝の地と実感した。高速バスで明石大橋を渡って、淡路島に泊まる。夜は遅くまでだべり、楽しかった。まだ一人も欠けず、皆、元気なのがうれしい。(2011/4/18)

★高田屋嘉兵衛

 宿のすぐ側が高田屋嘉兵衛記念館である。司馬遼太郎の作品で有名になった。西郷や海舟・龍馬など武士だけでなく、商人にも大人物が出た。時代の変わり目というのはそういうものなのだろう。今も時代の変わり目のはずだが? 次いで野島断層記念館を見た後、神戸に戻り、震災遺構を見学した。(2011/4/19)

★年々歳々花相似

 クラス会で3日間サボったので、三陸大津波のデータ整理に追われていた。モニタとにらめっこ、目がショボショボしてきた。その時、「生まれたてのアゲハがいる」との妻の声、庭に出てみた。確かにまだ湿っていて飛ぶことが出来ないでいる。庭を見渡してみたら、北の花スズランが今年も咲いている。「年々歳々花相似、歳々年々人不同」である。(2011/4/21)

★横川物産館

 妻は物産館に凝っている。横川まで椎茸を買いに出かけた。ちょうどイベントをやっていて、粟餅をついていた。子供らにもつかせ、ついた餅は無料配布。そこには東日本大震災の募金箱があった。大部分の人が募金に応じていた。(2011/4/24)

★岩ツツジ山

 その後、丸岡公園でツツジを見た後、曽木の滝で新緑を見ながら昼食、帰途、思い立って岩ツツジ山に寄ってみた。もちろん、岩ツツジの季節は終わっていたが、本当にミツバツツジは三つ葉をしていた。白い藤やマンサク、普通のツツジなど咲いていた。最後には宮之城温泉で区営温泉に入浴、料金150円也。入浴後、蕨の漬物と渋茶を出してくれた。(2011/4/24)

★サイボーグ

 白内障の手術をした。既に8年前に片眼をしていたから、これで両眼とも人工レンズ、眼に関してはサイボーグである。人類誕生以来たかだか数百万年、人生50歳用にしか身体は作られていないのだから、要するに耐用年数が過ぎたのだ。そろそろお迎えが来てもおかしくはない年頃と言うことである。(2011/4/25)

★音楽三昧

 白内障の手術は日帰りでも出来る簡単なものだが、通院も面倒なので入院した。翌日には眼帯が取れてゴーグルになった。しかし、眼の病気で入院しているのにテレビを見るのもどうかと思って、終日ラジオを聴いて過ごした。コンクリートの大きな病院のためか、AMが入りにくい。専らFM。FMはニュースをほとんどやらず、音楽ばかり流している。メールも来ないから外界から全く隔絶した生活となった。これも修行。その代わり、周囲がよく観察できた。寝返りも打てない患者にいつも笑顔で接している明るい看護師さん、美しいと思った。(2011/4/26)

★故郷忘じ難く

 車検を受けるため与次郎まで出かけた。待つ間、海浜プロムナードを散歩した。ここからは桜島が目の前に見える。杖を突いたお年寄りに話しかけられた。志布志から越してきたとかで、時々タクシーで海を見に来るという。猛スピードで海上を滑るように行き来する船はどこへ行くのか、と聞くから、種子島行きのホバークラフトですと答えたが、行き来というからには、相当長時間ここにたたずんでいたらしい。「志布志の海のほうがきれい」とポツリ。お子さんにでも引き取られて都会に来たが、ふるさとの志布志が懐かしくて、海を見に来るのだろう。ふと三陸の人たちのことを思った。いくら津波の危険があっても、海から離れた生活は考えられない人が多いことだろう。防災と望郷、難しい。(2011/4/29)

★シャンプー

 白内障手術から5日目、洗髪の許可が出た。久しぶりにシャンプーをし、無精髭を剃った。爽快である。ゆったりと浴槽に浸かりながら、震災被災地の人々のことを思った。こちらはたったの5日間、あちらはもう1ヶ月半になる。(2011/4/30)

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更新日:2011年4月30日