桜島大正噴火資料集/豪灰/大隅湖/口蹄疫/理髪/最小不幸/おだやかな死/はやぶさ帰還//ブブゼラ/参院選/森の子育て/調整池/草刈り/バッタ/土砂崩れ/ヤモリ

鹿児島のご隠居(2010.06)


★桜島大正噴火決定版資料集

 内閣府からの頼まれ仕事で桜島大正噴火の教訓をまとめている。この仕事で新資料もかなり集まったが、図書館などは100年も経った資料は貴重本として禁帯出扱いである。図書館同士の相互貸借協定に基づいて借用を申請しても禁帯出は対象外として断られる。やむなく出向いて、館長裁量による特別貸し出しをお願いしたことが度々であった。そこで、全部復刻して決定版資料集を刊行しようと思いついた。近年の火山噴火は溶岩流出などの局地的災害が多い。富士山宝永噴火や浅間山天明噴火のような事態が起きたら、関東圏の降灰被害は甚大に違いない。その点で、桜島大正噴火が大いに参考になる。資料集は学術面だけでなく、こうした関東圏での災害対策にも役立つだろう。そんな理由を付けて、大正噴火100周年記念事業の一環として決定版資料集を出版しないかと鹿児島市に働きかけているところである。市も前向きで見積が欲しいという。今日は、そのことで出版社に出かけた。全10巻では収まらないだろうとのことだった。
 写真は小藤文次郎先生のフィールドノートである。学生時代、小藤記念室の引き出しにあった。進学した時にフィールドノートはこのようにつけるものだと言われ、真似をして英語でつけたものだ。その日1日のまとめを文章化しておくことは、大いに参考になった。後で論文を書く際、記載の章を書く時には、それをまとめるだけでよいから、能率的だった。ただし、英語で書くと、英語の不得意な私にとってはどうしても断定的表現になり、微妙なニュアンスが飛んでしまうことが多く、これは真似をしないほうが良いと、その後は止めてしまった。小藤記念室は大学院の口頭試問の場だったから、小藤先生の銅像ににらまれながら試験を受けるので、あまり気分が良くなかった。あの銅像はどうなったのだろう。(2010/6/1)

★豪灰

 妻から雨が降りそうになったらベランダの洗濯物を入れて欲しいと頼まれていた。書斎から何気なく水道タンクのほうを見たら、「一天俄にかき曇り」という状況、しかしまてよ、向こうは東の方向、雨雲ではない。桜島の火山灰だろうとカメラを持ち出した。それからしばらくしたら、空一面薄暗くなって全体を覆うようになり、目も開けられない。向かいの中学校を見たら、先生方の車がご覧の通り、真っ黒。生徒たちの中にはタオルをかぶって下校する者もいた。(2010/6/2)

★大隅湖

 桜島大正噴火で高隈山一帯は厚い降灰に覆われた。ここを源流とする河川はその後10年近く土石流や水害に見舞われたという。串良川には改修紀念碑が3つもあるというので写真撮影に出かけた。碑文によれば、復旧しては壊され、賽の河原のようだったらしい。串良川を遡って、百引で名物のとんかつを食べた後、大隅湖に遊んだ。紫陽花がたくさん植栽されていてきれいだった。(2010/6/4)

★口蹄疫

 霧島市の小村新田にも桜島大正噴火で地盤沈下したという石碑があるという。そこで、国分経由で帰ることにした。福山で口蹄疫の消毒をしていた。宮崎からの侵入を何とか食い止めようということなのだろう。それにしても宮崎の酪農家はさぞ大変なことだろう。動物の病気を治すことを生き甲斐としてきた獣医さんたちが殺すために動員されているのも、きっとやり切れない思いに違いない。(2010/6/4)

★理髪

 床屋に行ってきた。東京下町ではシルバー割引で1,800円だった。チケットをもらうと次回は200円引きだったから、実質的には1,600円である。ずいぶん安いとビックリした。鹿児島に帰ってきたら、その倍はする。年金生活になって、そうした細かなことまで気になるようになった。近くに、新しい店が出来て、整髪いくら、顔剃りいくら、シャンプーいくらと、工程ごとに分けて値をつけるという。シャンプーなど、どうせ風呂に入る時にやるに決まっているから省略すればよい。そうすると今までのお店より1,000円は安い。今までのお店は腕は良かったし、長いつき合いだったから、少々気がとがめたが、新しいお店に行くことにした。この方式は規格のパーツを集めて作るWindowsパソコンに似ている。商売のやり方も時代と共に変化していくのだろう。(2010/6/8)

★最小不幸

 理髪中に菅新総理の記者会見をやっていた。顔を剃られながら、うつらうつらと聞いていた。「最小不幸の社会を目指すのが政治だ」という。バラ色の夢を語って実現してこなかった歴代首相とは、ちょっと変わっている。普天間基地問題など、アメリカ大統領と腹を割って、粘り強い交渉をしてもらいたいものだ。徳之島島民と粘り強く話し合うなど方向違いである。(2010/6/8)

★おだやかな死

 書店に岩波など8出版社共同復刊本がずらりと並んでいた。ボーヴォワールの『おだやかな死』を買ってきた。なぜこの本を選んだか。やはり、死が現実味を帯びてきた年齢になって来たからだろう。学生時代、サルトルやボーヴォワールを読んだことがないとバカにされそうな雰囲気があった。それで『第二の性』だったか何か代表作を読んだことがあるが、何も覚えていないところを見ると、やはり単なる「知的虚栄心」のなせる技だったのだろう。本書は癌で死に行く母の看病日誌である。幼い頃愛した母、信仰などを巡って葛藤した母、しかし、今も愛して止まない母、その母が別世界に行ってしまう不条理、患者を苦しめるためだけの延命治療、それらに対する思いが書き連ねてある。理知の象徴のように言われていたボーヴォワールが取り乱しているように思える。それだけに却って母に対する愛情の深さが偲ばれる。本書を読みながら、若くして乳癌で亡くなった姉を看取った日々を思い出していた。ボーヴォワールが最後に述べているように、死とは「不当な暴力」である。なお、訳者は杉捷夫先生、高校の大先輩である。私が学生の頃はまだ文学部の教授だったはずだ。お会いしておけば良かった。(2010/6/12)

★はやぶさ帰還

 小惑星「イトカワ」から人工衛星「はやぶさ」が無事帰還した。先日、はやぶさのことをテレビで見た。内容は数々の困難を乗り越えてきた技術者の執念の物語だった。技術屋魂とでも言えようか。成功を心からお祝いする。あとは小惑星の石が採取できたかどうかである。アポロの石は、当時東大地質の久野先生が火山学の権威だったから、早速、日本に送られてきた。私は大学院生だったので、見せてもらった。日本で最初に見たほうであろう。久野先生のことを思い出しながら、ニュースに見入った。(2010/6/13)

★

 梅雨模様だが、少し止んだので散歩した。道路に青い実がたくさん落ちている。振り仰いだら柿らしい。こんなところに柿の木があるとは知らなかった。注意力不足。そこで先日のビワを見に行ったら、全部収穫されて一つも残っていなかった。(2010/6/14)

★ブブゼラ

 私はサッカーのルールもよく知らない。ましてやテクニカルなことは全くわからない。それでも対カメルーン戦を深夜最後まで見てしまった。若者が一生懸命やっていることだけはわかったからである。それにしてもブブゼラとやらいう民族楽器の音はすさまじい。あれでは監督の指示など聞こえないだろう。自分の頭で考え行動するチームプレイの得意なチームにとっては有利かも知れない、などと思った。(2010/6/15)

★参院選

 今日も雨、玄関を出でてみたら中学校の前に参院選のポスター看板がいち早く設置されていた。手回しの良いのに驚いた。しかし、民主党も姑息である。政治と金など臭いものには蓋をして、国会で重要問題を十分審議もせず、総理交代後の内閣支持率の高いうちにやろうというのだから。(2010/6/19)

★叱らない森の子育て

 今日は豪雨、横なぐりの雨で、水道タンクが見えない。来月の講演のためにスライドづくりをしていたら目が痛くなったので、居間に降りてテレビをつけた。たまたまBShiで「プラネットベ-ビーズ」という番組の再放送をしていた。アマゾンの森に暮らすアシャンカ族の生活である。子供が兄弟喧嘩など悪さをした時には、叱らずに悪い精霊を追い出す薬草で身体を洗い清めるのだが、これは祖父母や親戚の人がやることで両親は決してしてはならないのだという。両親はその後優しく慰める役割の由。
 私が大学院時代フィールドでお世話になった恩人に猪狩三夫先生という小学校の校長先生がおられた。私が運転を覚えたての時に、ブレーキをかけ、キューッと止まった。「ブレーキは最後の瞬間、少しゆるめると、前のめりにならずにスーッと止まる。叱り方と同じだ」と言われたことがある。とことん追い詰めるのではなく、逃げ道を開けておくのだという。先生はいつも大声で子供たちを叱っておられたが、子供たちからは慕われていた。残念ながら昨年亡くなられた。お葬式は大勢の教え子でいっぱいだった。ご冥福をお祈りする。(2010/6/20)

★調整池

 連日大雨、大雨洪水警報や土砂災害警戒情報が出っぱなしである。災害が起きないか心配。午前中、梅雨の晴れ間か、ちょとの時間止んだので、出かけてみたら、団地の調整池はご覧の通り。普段は雑草が生えているのに水をたたえている。向こうの出口には丸い小さな孔がいくつか開けてあり、これでピーク時流量にタイムラグを作っているのだという。行ってみたら、とうとうと音がしている。昨日はもっとすごかったのだろう。(2010/6/22)

★草刈り

 今日は梅雨の中休み、水道タンクの下の崖で草刈りをやっている。昨年はお盆の頃だった。種子が飛ぶ前に済まそうというのだろか。引っ越してきた頃は、フェンスもなくタンクまで近寄れたし、この崖も灌木が生え、小鳥の格好の巣になっていた。子供たちの安全を考えれば、キチンと管理するようになったのは良いことなのだろうが、少し寂しい。(2010/6/23)

★バッタ

 昨日、車のフロントガラスに子供のバッタがとまっていた。先日の草刈りで追い出されたのだろうと思っていた。ところが今日もいるではないか。今日は雨だからワイパーを動かしているのにとまっている。してみると、車内にいたのだ。一晩中ひもじい思いをしたことだろう。早速、そーっと捕まえて逃がした。(2010/6/25)

★土砂崩れ

 昨日は、1976年にシラス災害で鹿大生が4人亡くなった命日である。幸い、何ごともなかったのでホッとしたが、今晩からまた大雨が降るとの警報が出ている。土砂災害警戒情報も出たままだ。晴れ間に散歩に出たら、わが団地の法肩が少し崩れてブルーシートがかけてあった。アスファルトに亀裂があるところを見ると盛土崩壊であろう。(2010/6/26)

★ヤモリ

 昨夜は予報が外れて大雨がなく、災害も起こらなくてホッとした。その代わり、室温31度で恐ろしく蒸し暑い。夜、網戸にして、台湾で起きた深層崩壊のテレビ番組を見ていたら、ヤモリがへばりついているのに気づいた。ヤモリは台湾にいた頃は身近な存在だったから、懐かしいような気もするが、鹿児島も亜熱帯になったのだろうか。テレビ番組では、温暖化して、今までにない災害が起きていると解説していたが…。(2010/6/27)

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更新日:2010年6月27日