熊本城/水前寺公園/江津湖/小泉八雲旧宅/桜島現地調査/落葉/生体認証/第五公園/ドイツ統一/小さな秋/桜原/大王/高千穂冠雪/初雪/しずく/毎日が誕生日/剪定/廃校/正月準備/壺畑/名を残す

鹿児島のご隠居(2009.12)


★熊本城

 奥さん孝行3日目は熊本見物である。1日乗車券を買って、まず何はともあれ熊本城へ。今年、本丸御殿を復元したという。54万石だから54億円かけたのだそうである。しかし、あまりにピカピカしていて有難味がない。昔ながらの宇土櫓のほうがずっと見応えがあった。(2009/12/1)

★水前寺公園

 次は水前寺公園である。名物の「いきなり団子」を食べてから、園内を散策、カモメがエサに飛びついていた。期待していなかったのに、まだ紅葉も残っていた。(2009/12/1)

★江津湖

 妻が中村汀女を読んで感激、彼女の句にしばしば登場する江津湖を見たいという。ところが、ウォーターレタスとかいう外来の水草が繁茂、湖面の半分くらいを覆っている。巨大な脱穀機のような形をした船が除草作業をしていた。少々ガッカリ。(2009/12/1)

★小泉八雲旧宅

 これで真っ直ぐ駅に戻っては1日乗車券の価値がない。途中下車して小泉八雲旧宅を見学した。神棚もあったが、これは八雲自身の注文で設えたものだという。アイルランドに育ったので、八雲は多神教を素直に受け入れたのだろう。(2009/12/1)

★桜島現地調査

 内閣府中央防災会議の桜島大正噴火分科会現地調査が行われた。いつもは車を運転しているのに今日はバスで見学である。黒神埋没鳥居の標識の英語が溶岩に埋まっていると書いてあると教えてもらい、初めて気づいた。フェリーのテレビのところに溶岩が展示されていることも初めて知った。今まで何を見ていたのだろう。観察不十分を反省した。なおフェリーの昭和溶岩が鍋山から流出したとの誤った記述もあった。
 京大の火山観測センターでは煤書き地震計が動いているのに感激し、大正溶岩に桜の木が自然に生えたとの説明にも感激した。(2009/12/2)

★落葉

 昨4日は、福岡で応用地質学会九州支部役員会と鹿大地学科同窓会北部九州支部の宴会の両方に出席し、午前様になった。アクティブ65という北部九州乗り放題の切符だから九州国立博物館にでも行こうかと思ったが、寒々としていたので、午前中に帰鹿した。木枯らしが吹いたのか、わが家のもみじもきれいに紅葉する前に落葉してしまった。(2009/12/5)

★生体認証

 銀行のICカードには指紋の認証機能が付いている。指紋は一人一人違うからである。私は20年くらい前にちょっとしたケガをしたので人差し指に傷がある。これなら他人ともっと区別しやすいと思って、それを登録した。ところが、いざそれを使って預金を引き出そうとしたらエラーが出る。単なるパターンマッチングではないらしい。指紋ではないと判断するアルゴリズムが組み込まれていたようだ。それでは別の指を登録したいというと、再発行のための面倒な手続きがあり、何週間もかかるという。不完全な技術なのに完全だと思い込んだのか、フェールセーフ機能が欠けている。(2009/12/8)

★第五公園

 銀行で手間取ったので、折角、しばらくぶりに晴れたのに、遠出できない。やむなく団地内を散歩したら、公園から桜島の噴煙がよく見えた。少し紅葉も見える。(2009/12/8)

★ドイツ統一

 鹿大で打ち合わせがあって出かけたが、早く着いたので中央図書館に立ち寄った。「旧東独社会主義統一党による独裁体制を検証するための連邦基金」主催によるパネル展「平和革命から再統一へ」をやっていた。ドイツはナチスのような負の遺産についても目をつむらず、事実を誠実に後世に伝えようとしているが、東独についても同様に地道にやっていることを知り感銘を受けた。翻って、わが国はアジア侵略の歴史を忘れたがって意識的に触らないようにしているし、コミンテルンのDNAを引き継ぐ党も過去の過ちについては頬被りしている。歴史に目をつむる者は歴史に見捨てられる。(2009/12/10)

★小さな秋

 昨日は雨、今日の午後になってようやく晴れ間が出てきたので団地内を散歩した。ススキを見つけた。(2009/12/11)

★廃仏毀釈

 天気快晴なので史跡の写真を撮りに出かけた。仏智山津友寺跡では、仁王様の首だけが俯き加減に置いてある。哀しそうなお顔に見えた。サザンカが散っていたので、一層、もののあはれを感じた。それにしても、本当に徹底的に廃仏毀釈をしたものだ。(2009/12/12)

★錦江町桜原

 今日も快晴、桜島と大隅半島に桜島大正噴火の爆発記念碑や移住記念碑の撮影に出かけた。錦江町桜原(さくらばい)で、ビワの花が咲いているのを見かけた。桜島からの移住者は故郷を思い出すために、桜島小ミカンやビワ、桜島大根などを必ず植えたという。この集落の名前も桜島に因んでいる。近くの桜原神社の祭神も桜島黒神の腹五社神社から分祀したものという。移住者の心情を思うとしんみりした。(2009/12/14)

★小林市大王

 今日は、宮崎県小林市出の山公園で会議がある。早めに出かけて、桜島からの移住者集落である大王に行ってみた。公民館に移住祈念碑が建っている。真後ろには夷守岳がそびえる。移住者はこの山を桜島と思って開墾に励んだのだろう。(2009/12/15)

★高千穂峰冠雪

 東京で会議があり、朝9時55分の飛行機に乗った。空港から霧島山がよく見えた。高千穂峰に冠雪が見られた。美しい。何となく天孫降臨の霊山という気がした。(2009/12/18)

★初雪

 今朝方、雪がちらついた。初雪である。でもすぐに溶けてしまった。新潟からの電話では豪雪の由、大変だろう。こちらは9度で震え上がっている。(2009/12/19)

★しずく

 昨夜から氷雨が降り続いている。庭のしだれ梅にしずく玉が並んでおり、あたかもスズランのようだ。ちょうど一瞬太陽が顔を出したので、光ってとても美しい。(2009/12/20)

★毎日が誕生日

 桜島大正噴火のことで黎明館まで出かけた。カーラジオをつけたら、アグネス・チャンさんのインタビューをやったいた。乳がんを患った由。以来、毎日が誕生日と思って生きているとのこと。Happy birthday to me!とあくまでも前向きで明るい。古稀を過ぎても、まだ明日があると思って、無為な生活を送っている自分が恥ずかしい。(2009/12/22)

★グミの剪定

 わが家の東側の生垣はサザンカである。トイレのところだけグミの木だ。トイレに立つと通りがかりの中学生と目を合わせるので、すぐ大きくなるグミを植えたのである。今ではサザンカもすっかり大きくなり、同じ樹種で統一しておけばよかったと後悔している。グミの木が伸び放題に伸びているので剪定をした。トゲがあることに初めて気づいた。昔は中学生に食べてもよいかと聞かれたものだが、今ではグミが食べられるということすら知らない。剪定した枝を片付けようと竹箒を持ち出したら、なんと、サザンカの花びらがお隣はもちろん、そのお隣まで飛んでいっていた。3軒分掃除をする羽目になった。今まで近所から文句が来たことはない。妻が毎日掃除をしていたのだろう。感謝。(2009/12/22)

★廃校

 桜島爆発記念碑の写真を撮りに郡山町に出かけた。記念碑などあるところは、神社か学校か公民館あるいは公園に決まっていると高をくくっていた。学校は廃校になっており、そこにあったのはプール建設記念碑だった。かつては子供たちのはしゃぐ声が賑やかだったのだろう。記念碑の場所を聞こうにも今は人気が全くない。やむなく帰ろうとしたら、県道脇に建っていた。(2009/12/24)

★正月準備

 わが家の前は中学校の正門である。先生方の手によって門松が据えられ、正月を迎える用意が万端調っている。門が開いているところを見ると、今年は新型インフルエンザで冬休みに入るのが遅いらしい。それに比し、わが書斎は今年こそ書類を整理しようと思っていたのに、やはり段ボールが積まれたままになっている。同じ状態で迎春となるに違いない。少なくとも明日はやらないだろう。天気予報が晴れだから。(2009/12/25)

★黒酢壺畑

 この頃天気が悪い。天気予報では今日だけ天気が良いというので、黒酢の壺畑を見学するという口実で妻を連れ出し、大隅半島北部の櫻島爆發記念碑撮影に出かけた。壺畑は、以前は金網が張ってあるだけだったが、情報館が出来て展示と売店もあった。南斜面で標高が低く、温暖な気候が、この地を酢の産地にしたのだという。壺の大きさも大きすぎても小さすぎても酢の発酵にはダメなのだそうで、先人の知恵には感心させられた。
 記念碑のある開拓集落に行ったら、小学校が廃校になっていた。残念ながら予想が当たっていた。血のにじむ苦労をして切り拓いたのに、過疎化の波には勝てなかったのだろう。暗澹とした気持になった。(2009/12/26)

★名を残す

 櫻島爆発記念碑の撮影で最後に残ったのは一番近い甲突川左岸のものである。前回探したときには見つからなかった。今日はリベンジ、もう一度出かけた。大きな碑の裏にちんまりと鎮座していた。建立者の氏名が刻んであるだけで碑文はない。どういう曰く因縁で建てられたのだろうか。「虎は死して皮を残し、人は死して名を残す」と言われる。ご本人は石に名を刻むことによって後世に名を残そうとされたのだろうが、これでは全く意味がない。
 子孫を残したいというのは生物の本能である。遺伝子のなせる技であろう。名を残したいというのはヒトの本能だろうか。ミーム(meme)という文化的遺伝子なる概念がある。さしずめ教え子などはこの文化的遺伝子の産物である。進化していくためには、遺伝子に複製、伝達、変異という3つの條件が必要という。ダメ教師としては教え子が良い方向へ変異していくことを願うしかない。(2009/12/28)

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更新日:2009年12月28日