灰雨/降灰/糸トンボ/この街で/騰騰任天真/国指定文化財/銀杏/ボランティアレンジャー/誤情報/希望学/甑島/紅白饅頭/実りの秋/ONの時代/白洲次郎/クラス会/小田原城/古墳めぐり/ジオ鉄旅

鹿児島のご隠居(2009.09)


★灰雨

 今日は桜島が6回も爆発したという。ちょっとした夕立があった。そこに降灰だから、車は写真の通り、水玉模様。昔、東京から来た友人に、「ジャガー色の塗装をしているのですね。カッコイイ。」とからかわれたことを思い出した。この10年くらい静かだったのに、最近、また、活動が活発になった。(2009/9/3)

★降灰

 宇宿の建設技術センターまで用事で出かけた。理事長と面談して外へ出てみると車に桜島の灰が積もっていた。そこで、すぐ近くの人工島・ポートアイランドかごしまに行って写真を撮ってきた。ここからは遮るものが何もない桜島を見る絶景ポイント。昨日の風向きは市内方面だったが、今日はまさにこちらを向いている。噴煙が日差しを遮っているから、海の色まで違って見える。(2009/9/4)

★糸トンボ

 ミュージアム知覧に仲覚兵衛の企画展を見に出かけたついでに、武家屋敷近くの亀甲城跡に立ち寄った。日曜日だから武家屋敷は観光客であふれていたが、城跡は階段に蜘蛛の巣が張ってあり、少なくとも今日は私が最初である。観光客ももう少し歴史に興味を持ってもらいたいものだ。その代わり、ここは糸トンボの楽天地、人間を恐れず、群れ飛んでいた。(2009/9/6)

★この街で

 車を運転中ラジオをつけた。女性歌手が歌っている。途中からだったので曲名はわからない。「この街で生まれ、この街で育ち この街で出会いました あなたとこの街で <中略> この街でいつかおばあさんになりたい おじいちゃんになった あなたと歩いていきたい…」といった歌である。歌手の言に驚いた。この歌は年輩者よりも10代・20代の人に人気があるという。明治以降、中央に出て覇を唱える立身出世型か企業戦士型が若者の追い求める姿だった。これからは、ささやかな幸せを求める方向へ変わったのだろうか。地方の時代は政治ではなく若者の考え方から既に始まっているのかも知れない。
 ネットで調べたら、新井満作詞「この街で」という歌だった。歌っていたのは城之内早苗さんらしい。(2009/9/6)

★騰騰任天真

 昼食後「スタジオパークからこんにちは」というテレビ番組を見た。ゲストは歌手の南こうせつさんである。大分で農耕生活を送っているという。還暦を迎えた心境を聞かれて、良寛様の言葉「騰騰任天真」を挙げておられた。こちらは古希を過ぎても、なかなか「天真に任す」境地になれない。凡夫は哀れなるかな。
 原文「良寛詩編」は下記の通りである。
生涯懶立身(生涯身を立つるに懶く)/騰騰任天真(騰騰天真に任す)/嚢中三升米(嚢中三升の米)/炉辺一束薪(炉辺に一束の薪)/誰問迷悟跡(誰か問わん迷悟の跡)/何知名利塵(何ぞ知らん名利の塵)/夜雨草庵裡(夜雨草庵裡)/双脚等閑伸(双脚を等閑に伸ばす)
(2009/910)

★国指定文化財

 いつぞや高山城跡に行ったら、小さな丘陵を越しただけというのに、こちらは土砂降り、結局、敗退した。今日はリベンジで再度出かけた。麓には国指定重要文化財という麗々しい看板が出ていたにもかかわらず、正門に当たる大手口はご覧お通り。藪がひどくて近づけたい。それではと搦め手のほうに回ったら、近所の方が藪がひどくてとても行けないし蛇がいるから止めなさいと引き留めてくれた。県指定のところは、まだ地元のせいか整備してあるが、ランクの上であるはずの国指定はご覧の始末である。日本の文化行政はどうなっているのだろう。民主党ではないが、アニメの殿堂ももよいかも知れないが、地道なこともやって欲しい。(2009/9/11)

★銀杏

 武岡台小学校の通学路に植えてある銀杏並木が黄色くなり始めているのに、ふと気づいた。雲も秋の雲である。この小学校は団地の肥大化に伴って、既存の武岡小学校だけでは間に合わなくなり、新設された学校である。ところが、廃校の噂がある。団地全体の高齢化が原因らしい。学校も銀杏同様、落葉の季節を迎えようとしているのであろうか。(2009/9/12)

★ボランティアレンジャー

 えびのボランティアレンジャーの会が地学研修会をやるというので、一参加者として参加した。もと学校の先生だった人が多いようだったが、いずれも大変熱心で、知的好奇心の旺盛さには敬服した。植物の薬草としての効用や中世の城など、話はあちこち飛び、大変面白かった。惜しむらくは若い人がいない。矢岳高原からの加久藤カルデラの風景も絶景だった。(2009/9/13)

★誤情報

 この1年、史跡の写真を撮り続けてきたが、位置図のない本が大部分で、地図が載っていても略図でよくわからない。しかも間違いがかなりある。神社など地図に載っているものはよいが、田の神などは地元の人に聞いて回るしか手がない。国・県指定の文化財はほとんど終わったので、市町村指定にまで手を伸ばすことにした。そこで、まずわが家の近くからと、南泉院歴代住職の墓を訪ねることにした。市役所のホームページに地図が載っている。その地図が示す谷筋を探したが見つからない。畑で働いている人に聞いても知らないという。3度も出かけた。結局、何と川の正反対側にあった。ネット情報は鵜呑みにしてはいけないと知ってはいたが、公的機関のホームページだと信用したのがいけなかった。(2009/9/14)

★希望学

 NHKのクローズアップ現代で「希望学」という学問があることを初めて知った。玄田有史東大社研教授がゲストである。ローカルアイデンティティの再構築、weak ties(弱い絆)とかのキーワードが出てきた。「挫折や失敗を乗り越えた先に希望がある」との当たり前のところに落ち着いたが、肯けるものがあった。ジオパークもこのローカルアイデンティティの再構築に役立つだろうと考えている。(2009/9/14)

★甑島

 甑島が地質百選に選ばれた。その解説書のために写真を撮りに出かけた。本来は遊覧船で下甑島西海岸の鹿島断崖を撮りに行くつもりだったが、台風の余波で波が荒く、東海岸めぐりになってしまった。台風は小笠原にいるのに、東シナ海まで影響があるとは、さすがに自然のスケールは大きい。シルバー連休の初日だから、フェリーは結構賑わっていて、マスクを着けた親子連れが乗っていた。新型インフルエンザの流行っている都会からの帰省組であろう。(2009/9/19)

★紅白饅頭

 明日は敬老の日であるということを忘れていた。永らく15日が敬老の日だったからである。ところが、町内会婦人部長さんが訪ねてこられて、紅白の饅頭と銘茶をくださった。ヤレヤレ、お祝いを受ける身になったのかと実感した。でも美味しくいただいた。お祝いの紅白饅頭など食べたのは何時の頃だったろう。大学の卒業式で大学の校章銀杏の焼き印を押した紅白饅頭をもらったことだけは鮮明に覚えている。クラシックだなあとは思ったが、祖母のところに持って行った。老衰で亡くなる寸前だった。もう食べる元気はなく、おしいただくように額のところにつけて、卒業を喜んでくれた。それから苦しい息の中で、馬に揺られて嫁入りした時の思い出話をして、昏睡状態になった。享年94歳、大往生だった。台湾にいたため、祖父のことは知らないが、「みんなお休み」と言って寝床に入ったっきり、翌朝起きてこなかったという。本人はいつものように寝たのだろうが、永眠になった。私も祖父母にあやかりたいものだ。(2009/9/20)

★実りの秋

 今日は敬老の日、息子の運転で長距離ドライブをした。道の駅「たからべ」で美味いラーメンを食べた後、国登録有形文化財のJA財部支所石蔵倉庫の写真を撮影した。これで国登録有形文化財のほとんどは見たことになる。その後、関之尾から霧島へ行く途中、吉之元小学校のところで田園風景に見とれて一時停車。稲刈りが始まったばかりで、農家の軒先には冬に備えて薪がぎっしりと積まれている。紅白の彼岸花も咲いていた。中学生の頃秋田にいたことがあるが、あの頃はどの家も学校も薪ストーブだった。秋にはせっせと薪割りをさせられた。懐かしい風景である。(2009/9/21)

★ONの時代

 NHKで「ONの時代」という番組を見た。よく「天才の長嶋、努力の王」と言われる。2人を育てた荒川コーチによると、長嶋は努力の固まりのような人で、王は最初から努力の人ではなかったという。2人はマスメディアの作り出した虚像、つまり大衆の期待に応えようと必死で努力したのだということがよく分かった。ただし、並みの努力ではない。(2009/9/22)

★白洲次郎

 半年ほど前、NHKドラマで白洲次郎をやっていたので、興味を持って原作『白洲次郎 占領を背負った男』(北康利著)を読んだ。ところが、俳優の病気か何かで最終回が延期になり、今日、放映された。原作の下巻に当たる部分、とくにGHQ内部の権力争いなどがずいぶん省略されていたが、次郎に焦点を当てているのだからやむを得ない。その代わり、原作にない、妻の正子が夫の次郎を西行法師に重ね合わせているとの示唆は脚本家の解釈だろう。面白い。(2009/9/23)

★クラス会

 大学のクラス会が箱根で開かれた。もちろん、大部分リタイアしている。それぞれの人生を聞いたが、皆、大活躍をして満足の人生だったようだ。箱根は新婚旅行以来、何回か来たがいつも車だったので、実は登山電車に乗るのは初めて。大涌谷では、7年延命するという名物の黒卵を皆で食べて、健康で再会することを約した。(2009/9/26)

★小田原城

 多忙な友人がいるので、予定より早く解散したが、こちらは最終便の飛行機を取ってあったから、小田原でお城を見学した。全部復元したもので有難味はない。しかし、小田原の歴史については、秀吉の北条攻めくらいしか知識がなかったので、少し勉強になった。(2009/9/26)

★大隅古墳めぐり

 「大隅わっぜよかど博覧会」の特別企画古墳めぐりツアーに参加した。史跡の写真撮りに来たところだが、専門家の案内だとやはり違う。見落としていたところが多々あった。写真左は本邦最南端の前方後円墳「花牟礼古墳」である。右は昼食を摂った「くにの松原」、樹海という言葉が実感できる。はるかに枇榔島が遠望できた。(2009/9/27)

★霧島ぐるっとジオ鉄旅

 明日から天気が悪くなるというので、鹿大の元同僚とジオパークのために、JRの鈍行を使って霧島ぐるっとジオ鉄旅を行った。秋の実りを背景に、さまざまな姿を見せる霧島山がきれいだった。住むところによって、「私の霧島」はきっと違うのだろう。(2009/9/28)

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更新日:2009年9月28日