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鹿児島のご隠居(2009.03)


★フラワーパーク

 今日は上天気、山川のフラワーパークに行くことにした。妻は途中の道の駅もお目当てである。新鮮な魚が安く手に入るから、すっかり気に入っている。その後、山川駅近くの食堂で名物のカツオタタキ定食を食べる。ここは、昔学生が安くて美味しいと教えてくれたところだ。中学生や高校生の合宿所になっている温泉に付属していた。口コミで伝わって流行ったせいか、立派な建物に変身していた。
 フラワーパークかごしまはいつ来ても何かしら花が咲いている。それで、今年も年間パスポートを購入した。思いがけずシャクナゲとミツバツツジに出くわした。今年はやはり暖かくて早いのかも知れない。この公園から見る海の景色は絶景である。帰途、頴娃城跡に回ったが、道路工事中で近づけなかった。残念。(2009/3/1)

★住吉池

 明日から雨になるという。そこで、今日も史跡巡りをすることにした。本名八幡神社・宇都窯跡・文之墓などを見たが、活火山の定義変更で活火山に組み入れられた米丸マールと住吉池にも行った。住吉池で、思いがけずきれいな桜に出会った。ソメイヨシノではなさそうだが、よくわからない。早咲きの品種なのだろう。もっとよく見たかったが、カップルが1組ベンチにいたので、邪魔をしては悪いから早々に退散した。(2009/3/2)

★薩摩の群像

 この頃、史跡巡りをしていると、やたらと島津姓が出てくる。本家・分家みんな島津を名乗っているし、時代も鎌倉から明治までだから、ややこしい。それで安直に、学研の歴史シリーズ本『薩摩の群像』を買ってきて読んだ。その時は、わかったつもりになったが、読了してみると、もっとわんさと島津姓の人物が登場してきて、ますます混乱してきた。(2009/3/3)

★川崎大師

 地質地盤情報協議会があり上京した。翌日、午後の飛行機だったので、少し時間がある。空港から30分ほどで行ける川崎大師に参詣した。ちょうど護摩の時間、さあさあ本堂へと誘われたので、本堂に入り、説教を拝聴した。四苦八苦のお話だった。仲見世では、名物の咳止め飴を切る包丁の音がトントンとリズミカルに響く。昔ながらのものを一袋買い求めた。(2009/3/5)

★e-tax

 確定申告の時期になった。昨年は手持ちのICカードリーダーが住基カードに対応していなかったので、やむなく税務署まで出向いたが、情報を冠した学会の会長であるからには、e-taxで申告出来なくては名が廃る。そこで、今年はトライしてみた。なかなか良くできたソフトで、必要項目を入力するだけで税金が自動的に計算され、簡単に申告できた。(2009/3/9)

★山桜

 今日は汗ばむ陽気、市内にある国登録有形文化財の写真を撮りに出かけた。帰途、日枝ヶ迫の山道を通った。シラス台地の場合、台地上は畑か住宅で、森林は崖縁にある。山桜が見事に咲いていた。山桜はソメイヨシノよりもずっと早く開花する。ソメイヨシノの並木も良いが、緑の中に白く山桜が点在するのも、また美しい。(2009/3/12)

★キャズム

 西田宗千佳著『クラウド・コンピューティング』を読んだ。クラウド・コンピューティングの概念自体は知っていたし、やがてそうなるだろうとも思っていた。これは書評ではないから、この本の中味はさておき、恥ずかしながら、この本で「キャズム」という言葉を始めて知った。ジェフリー・ムーア(Geoffrey A. Moore)のハイテクマーケティングに関する著書"Crossing the chasm"(1991)で使われて有名になり、「キャズム理論」などと言われているらしい。革新的なIT技術のマーケティングにおいて、購買層は正規分布をなす。まず、innovators(いわゆるオタク)、次がearly adopters(新しもの好き)、正規分布の釣り鐘部分が、early majorityとlate majority、最後がlaggards(最後まで拒絶反応を示す人)である。このearly adoptersとearly majorityの間には深淵(chasm)が横たわっており、これを乗り越えて、始めてブレイクするのだという。
 これはハイテク商品に限らず、いろいろな方面でも言えることであろう。私は情報地質学会の会長だが、うちの会員はほとんどが前2者である。なかなか一般の地質屋さんまで広がらない。キャズムは深い。(2009/3/13)

★萌えいづる春

 何十年ぶりかで斎藤茂吉『万葉秀歌』を読んだ。下巻の冒頭が志貴皇子のかの有名な「石激る垂水の上のさ蕨の萌え出づる春になりにけるかも」である。暖房もなかった昔の人は、さぞ春が待ち遠しかったに違いない。わが家の狭い庭でもアマドコロの新芽が出ていた。(2009/3/14)

★岩ツツジ

 さつま町の岩ツツジ山が満開と聞いて出かけた。個人が私有地に岩ツツジ(ミツバツツジ)を永年かけて植え続けたのだという。しかも入園無料である。奇特な方もおられるものだ。東京のツツジ園のようにきれいに刈り込まれた人工的な美と違う良さがある。また、色とりどりでなく、一色なのも良い。自然の山だからウグイスやシジュウカラなど、小鳥のさえずりも聞こえる。驚いたことにもう蝶が飛んでいたし、池では蛙が鳴いていた。(2009/3/15)

★観音滝公園

 さつま町まで来たのだから、例によって近くの別府原古墳や興詮寺などの史跡を巡り、観音滝公園で昼食にした。「軟骨煮定食」という鹿児島らしい食事を摂った。ソメイヨシノが3分咲きだった。(2009/3/15)

★藺牟田池

 帰途、藺牟田池に寄った。いつもと違って水かさが多い。このところ雨が多かったからだろうか。浮島が孤立して浮島らしく見える。湖畔にツクシが芽を出していた。また、緑色した桜も咲いていた。多摩の森林研究所で見た「御衣黄」か「鬱金」だろうか。それにしては、ソメイヨシノより早く咲くのはどうしてだろう?(2009/3/15)

★スミレ

 団地内を散歩した。崖っぷちにある公園では、竹藪の中でウグイスが盛んに鳴いている。さえずりも上手になった。スミレも見つけた。最近はガーデニングブームだから、人に見せるよう飾り付けているお宅もある。そうした庭を見て歩くのも楽しい。(2009/3/17)

★ネット百科事典

 無料で使えるネットの百科事典・Yahoo!百科事典が登場したという。これは便利だとアクセスしてみたら、何と自分がかつて編集委員をした小学館の日本大百科全書ではないか。もう20年以上前の代物である。学問は日進月歩、今頃以前の自分の文章を読むのは恥ずかしい。同時に、当時のことを思い出した。どの項目を選ぶかで取捨選択に大いに迷った。どれを選んでも、どれを捨てても、必ず文句が出る。次は執筆者の選定である。筆は速いがやっつけ仕事の人、筆が遅くて締め切りを守らない人、いろいろあった。デッドラインが過ぎたら、後は編集者である私が急遽執筆して埋めるしかない。そんな苦労が懐かしくもあった。(2009/3/17)

★トカゲ

 今日の気温は22度、4月中旬の陽気だという。わが家の軒先には妻のプランターがずらりと並んでいる。その陰にトカゲがいた。子供か成体かわからないが、やはり暖かさに誘われて出てきたのだろう。(2009/3/18)

★ヤモリ

 夜になったら、今度は珍客のご入来である。テーブルのポットの上にヤモリが乗っていた。まだ子供のようだ。おっかなびっくり捕まえて、外に放した。子供の頃、台湾ではヤモリが家の中によくいたことを思い出した。その頃は、外にいるのがトカゲ、家にいるのがヤモリ、水の中にいるのがイモリと覚えていたが、今回初めて百科事典で詳しく調べてみた。前2者が爬虫類で、イモリは両生類である。ヤモリは無毒とあり、ホッとした。(2009/3/18)

★汀女自画像

 『中村汀女-汀女自画像』(日本図書センター刊)を読んだ。転勤族と結婚するまで熊本の江津湖周辺で育った由、事あるごとに故郷の話に戻る。江津湖が彼女にとっての原風景なのだろう。私は転勤族の息子、小学校1年生から転校の繰り返しだった。私には故郷がないのである。コスモポリタンと称しているが、故郷を持つ人がうらやましい。強いて言えば、私の原風景は水牛の遊ぶのどかな台湾の田園風景であろうか。先年スマトラに行った時、何となく懐かしさを感じたから、やはりそうに違いない。
 一方、転勤に伴って見知らぬ土地に行く戸惑いと、やがて「住めば都」と同化する過程には、同じ体験者としてうなずけるものがあった。(2009/3/19)

★観音ヶ池公園

 今日は暖か、花見に出かけることにした。市内の桜はまだ早いから、市来の観音ヶ池公園なら山桜など多様な桜があるので、どれかは咲いているだろうと、市来に決めた。途中、有形文化財の大田発電所を見た後、道の駅蓬莱館で買い物をしてから行ってみた。残念ながらまだ、少し早かった。「27日○○会社70人」などと席取りの張り札があった。その頃が見頃で、宴たけなわなのだろう。しかし、久しぶりで山吹の花を見つけたし、ウグイスがいい声で鳴いていた。(2009/3/21)

★冠嶽園

 観音ヶ池は少々不満だったので、串木野の冠嶽園まで足を延ばした。ハナカイドウ、陽光桜、コブシ、利久梅、ミツバツツジなど、様々の花が咲いていた。手入れをしていた方が丁寧に説明してくださった。テーブルには見事なフラワーアレンジメントが飾ってあった。それなのにお客が誰もいない。いつもここは閑散としている。場所が奥まっているからなのだろうか、気の毒なことだ。(2009/3/21)

★樋脇遊湯館

 冠嶽園まで来たのだから市比野を通って帰ることにして、途中、道の駅樋脇遊湯館に立ち寄った。メダカやドジョウなど生きている淡水魚を売っているところが変わっている。また、温泉地らしく、無料で温泉水を汲ませてくれる。ペットボトルやポリタンクを持った人が行列していた。足湯もあった。(2009/3/21)

★藺牟田池2

 まだ、帰るには時間がある。途中、有形文化財・新大橋の写真を撮った後、藺牟田池に再び行ってみた。前回と違い、ソメイヨシノなど満開だった。山の上の方が麓より寒いから、気温差が大きいので開花が早いのだろう。緑っぽい桜は妻の鑑定によるとオオシマザクラらしいとのこと。確かに図鑑で見ると、鬱金ではないし、まして御衣黄ではない。なお、お茶畑もきれいだった。(2009/3/21)

★ファクトデータ

 若い友人が調査の帰途、鹿児島のホテルに泊まるという。会いに出かけて一晩呑んだ。日本列島の地質に関する最近の知見について話を聞くことができて、大いに知的刺激を受けた。日本列島の地質構造や構造発達史について、昔から幾多の学説が提起され、消えていった。結局、一番大切なのは観察事実である、との彼の主張には同感である。私も20年前、彼のいる研究所で、ファクトデータベースの重要性について、講演したことがあった。(2009/3/22)

★

 昨日とはうって変わって大雨洪水注意報、お蔭で咲き始めた桜が散ったかも知れないが、わが家の庭の苔が生き生きしてきた。本当は縁石の手前は細かな砂利だったのだが、竜安寺の石庭のように毎日手入れをしていないから、とっくに流れ去って、苔が侵入し始めている。(2009/3/22)

★団地の公園

 わが家の真ん前が学校である。その桜の若木が満開になった。それで、団地内を散歩してみることにした。わが団地には小さな公園がたくさんある。そのうちの半数くらいには桜が植えてあるからである。昨日の大雨にもめげず、案の定、どこも満開だった。写真を撮ろうとしたら、遊んでいた子供がピースとポーズを取ってくれた。驚いたことに、あるお宅の庭に藤の花が咲き始めていた。温暖化という言葉が頭に浮かんだ。(2009/3/23)

★丸岡公園

 ヒガンザクラ自生南限地を見に栗野岳まで行ってきた。ただし、本当はエドヒガンだったらしい。国有林の中に点在していた。確かに図鑑にある通り、ソメイヨシノに比べて少し小振りだし、花弁の下が丸くふくらんでいる。わかったつもりになった。帰りに、横川の丸岡公園に食事に立ち寄った。ここは桜の名所として名高い。各種の桜が植えてあったが、見ると、どれも花弁の下がふくらんでいるではないか。さて、わからなくなってしまった。(2009/3/25)

★龍門滝温泉

 温泉に入ることにして、龍門滝温泉に行く。浴室から滝と桜とツツジが見える。極楽極楽。温泉の人に聞いたら、龍門滝は「りゅうもんだき」と読み、近くの龍門司坂は「たつもんじざか」と発音する由。薩摩焼の龍門司焼はと聞いたら、これは「りゅうもんじやき」だという。難しい。(2009/3/25)

★グミとモミジ

 今日は桜の花をじっくりと見たが、帰宅したら、庭のグミとモミジにも小さな花が咲いていた。樹木の花は小さいから、今まで見落としていた。現役時代にはバタバタしていて、こうした自然界の移ろいや植物の微細構造まで観察するゆとりがなかったのも一因であろう。隠居の良い点のひとつである。(2009/3/25)

★珍客

 朝、2階のベランダにコウモリがいた。昨夏の夜、居間に舞い込んだ事はあったが、日中動き回るとは…。病気なのか元気がない。わが家もボロ家になってトトロの家並みになり、ヤモリやコウモリなど珍客が続々やってくるようになったのかも知れない。(2009/3/26)
 コウモリは暗いところに棲む動物、日陰の木の股にそっと置いてきた。ところが翌日、死んでいるのを見つけた。寒かったのだろうかと気になった。サザンカの木の根元に埋葬した。ナムアミダブツ。(2009/3/27)

★山田凱旋門

 天気が下り坂だという。遠出は止めて、蒲生方面の史跡を巡った。川上の田の神、新照寺、山田凱旋門、宮田ヶ岡瓦窯跡である。凱旋門は日露戦争の時に建設されたというが、階段の両脇に砲弾が置かれ、桜が植えられていた。學舎建設記念碑もあったから、この階段は昔の学校に通じていたのだろうか。凱旋門は鹿児島市内のいづろにもあったというが、とっくに壊されている。時代の変遷に関わらず、よくもまあ地元の人たちは残しておいたものだ。それで中国に行ったときのことを思い出した。文化大革命の際、古いものは徹底的に破壊された。あるところに孔子の論語が掲げられていた。案内者がそれをひっくり返して見せてくれた。朱色で毛沢東語録が書かれていた。革命時に破壊せず、裏に語録を書き、掲げておいたのだ。民衆のしたたかさを感じた。(2009/3/27)

★アマドコロ

 昨夜から雨模様、桜にとっては気の毒だが、庭の植物がぐんぐん成長していく。つい先日新芽が出たばかりだと思っていたのに、いつの間にかアマドコロが花をつけた。これがアマドコロかナルコユリか、妻と図鑑と首っ引きで調べた。茎が丸く稜がないので、アマドコロだろうということになった。(2009/3/28)

★JR全面禁煙

 JR都内各駅ホームが全面禁煙になると、ニュースが報じていた。わが家は中学校の正門前にある。先生方が門前でたむろして喫煙している。風で煙と臭いがわが家にやって来て、はなはだ迷惑である。あの先生方も教壇では「克己心」などとお説教しているのだろう。(2009/3/31)
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更新日:2009年3月31日