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鹿児島のご隠居(2008.10)


★巡検

 応用地質学会中四国支部の講演でビックリする話を聞いた。地質学会時に開催される恒例の地質巡検(地学見学旅行)の参加者が少なく、再募集することがしばしばだという。昔は講演を聴くよりも巡検参加が楽しみだった。他大学の偉い先生と同じ宿に泊まり、肉声でいろいろなお話を伺って啓発を受けた。したがって、早く申し込まないと、すぐ満員になり断られたものだ。今では、フィールドに楽しみを見いだす人が少なくなったのだろうか。大学人も会議会議でとんぼ返りせざるを得ないのも一因という。何れも困ったものである。(2008/10/3)

★豊島不法投棄

 応用地質学会の巡検で「ゴミの降る島」として有名になった豊島に行ってきた。廃棄物対策豊島住民会議の方に25年にわたる闘争の経験をお聞きした。理不尽な業者・無責任な行政と闘い、無関心どころか、迷惑顔の県民を説得する実に頭の下がる地道な取り組みのお話は、実践に裏打ちされているだけに、ずしっと胸に響いた。写真はシュレッダーダストのはぎ取り。(2008/10/4)

★ルネサンスの遺したもの

 岡山往復の新幹線の中で、塩野七生『ルネサンスとは何であったのか』(新潮文庫)を読んだ。最後に、ルネサンスが現代のわれわれに遺したものとして、次の三点に総括されている。第一はもちろん数々の芸術品である。第二は、精神の独立に対する強烈な執着、つまり、自分の眼で見て自分の頭で考え、自分の手ないし言葉で表現することである。第三は、善悪二元論ではなく一元論、自分の内に善悪双方を併せ持っていることを自覚することである。
 現在は21世紀初頭、やはり変革期と言われている。この1世紀、二元論がはびこり、既成の理論を信奉したり、自らのみ善しとして、他者を悪と決めつけることが横行してきた。現在は、ブッシュ政権のキリスト教原理主義が支配的である。今は、もう一度ルネサンスが必要な時期なのだろう。この総括をかみしめたい。(2008/10/4)

★神龍泉

 霧島は南西側が観光地で、北側はあまり人が来ない。ジオパークで盛り返したいものだと思って、北霧島を巡るドライブをした。まず御池の北にある霧島東神社に詣でた。こんな山奥だから誰もいないかと思っていたら、宮司さんも常駐している大きな神社で、車も何台かいた。ここに神龍の泉「忍穂井」という湧水があった。近づくまで滝かと思ったくらいだから相当の水量である。火山の麓には湧水が多い。昔の人は神の恵みと思ったに違いない。(2008/10/6)

★サンマ

 今年のサンマは大きくて脂がのり、大変美味しい。わが家の食卓にもしばしば載る。豊漁らしいが、この原油高、漁師さん達はさぞ困っておられるだろう。為政者はどんな気持ちで味わっているのだろう。
 話変わって、先日テレビで能登の珪藻土で七輪を作っている話をしていた。そう言えば、七輪を渋うちわで扇ぎながらサンマを焼いたことがあったなあ。七輪は珪藻土、渋は柿渋、団扇はもちろん竹製、皆、天然自然のものばかりだった。今は魚料理と言えば、養殖魚、それも骨抜きをした切り身を買ってきてIH(Induction Heating)調理器で焼く時代、これを進歩と言うのだろうか。(2008/10/7)

★五木

 テレビニュースで熊本県知事が川辺川ダム白紙撤回を表明したと報じた。ダム湖に来る観光客を当てにして民宿を作った方が憤懣やるかたないといった話をされていた。五木村は30年、ダムで振り回され続けてきた。それで上天気を幸い、五木村にドライブに出かけた。山女魚定食を食べてささやかながらお金を落としてきた。立派な取付道路が出来て、頭地集落は高台に移転、新しい家が建ち並んでいる。1軒だけ藁葺きの家が移築されていたが、子守歌の里の風情は何もない。これでは観光客が来ないだろうと心配になった。
 ところで、昔、旧道には仏像構造線の看板が出ていたが、新道には露頭もない。ダム建設には多くの地質屋さんも関わったはずである。地質遺産として露頭を保存するようなアドバイスが出来なかったのだろうか。残念。(2008/10/9)

★五木の子守歌

 「やませみ」という資料館があったので寄ってみた。そこで五木の子守歌は朝鮮戦役で加藤清正が連れ帰った朝鮮人陶工たちの歌っていた望郷の歌が替え歌として伝えられたとの説があると聞かされた。この歌は3拍子で日本の民謡では珍しいという。(2008/10/9)

★栴檀の滝

 五木まで来たので五家荘まで行くことにした。途中、緒方家の民家を見てから、せんだんの滝(栴檀轟の滝)まで行った。落差70mとか、すごい水量で迫力がある。茶店のおばさんが、お茶を出すから帰りに寄れという。仕方がない、立ち寄って、うまい椎茸茶を頂戴し、この滝に10日間も打たれて修行した人がいるという話を聞いた。滝の端ならともかく、本流なら水圧で立っていられないだろうと思った。義理で団子を買い、帰ろうとすると、紅葉が見事だから、その頃またお出でという。なかなか商売上手なおばさんである。(2008/10/9)

★野生

 川辺川で犬が激しく吠えている。車を止めてのぞいてみたら、犬が3頭、鹿に吠えかかっていた。わずか2~3分で斃されてしまった。見事な集団による狩りである。どの犬にも首輪がしてあったから飼い犬に違いない。オオカミ時代の野生が戻ったのだろうか。それとも訓練された猟犬か。しかし、周辺にハンターはいなかった。(2008/10/9)

★

 ついこの間まで熱帯夜だったのに、今日は最低気温が19度という。猛暑から突然秋になったような気がする。そういえば、散歩のとき目にする児童公園の桜も黄色く色づき始めたし、あるお宅の庭の柿も色づいてたわわに実っている。わが家の生け垣のサザンカも咲き始めた。出水の鶴も既に9月中に飛来したというから、今年は冬将軍の到来が早いのかも知れない。(2008/10/10)

★老いるショック

 教職員共済から雑誌が送ってきた。「老いるショック」という記事があった。第一次オイルショックの時には、トイレットペーパーの買い占めがあったが、第二次オイルショックでは、トイぺー買い占めは起きなかった。経験済みだからである。日頃、健康自慢でかくしゃくとしている人ほど、病気になったり、身体が不自由になったりすると、ショックが大きく、カタカタッといくという。経験がないからである。なるほど。私のような一病息災のほうが良いのかも知れない。(2008/10/12)

★三重岳

 市役所の出張所でグリーンツーリズムマップをもらった。それに三重岳が載っていたので、行ってみた。道路から入る標識が全くない。近所の方に聞いてやっと自然遊歩道にたどり着いたが、あまり手入れされていない。これがグリーンの意味なのかと妙に納得。ここに以前来たのは子供たちが小さかった頃だ。山頂の木が大きくなり、全然眺望が悪い。月日の経ったことを実感した。(2008/10/13)

★初鍋

 今秋始めて鍋料理を食べた。キムチ鍋である。もう鍋のシーズンになったか。時の経つのは早いものだ。単身赴任の時、一番栄養が取れると鍋をよく作った。しかし、テレビを相手に一人用の小さな電気鍋で食べるのは何とも味気なかった。今度は家族と一緒に鍋を囲む。やはり、味が違う。これが家庭の味というものだろう。(2008/10/13)

★天璋院篤姫展

 江戸東京博物館であった篤姫展を見損ねたので、黎明館に見に行ってきた。チラシに「篤姫、薩摩に帰る」とあった。彼女は薩摩藩の行動に怒り、奥州列藩同盟に期待していたというから、維新後も帰郷する気はなかったのだろう。遺品が里帰りしたことになる。雛道具などの工芸品は、当然、当代一流の職人が作ったのだろうから、見事で当たり前だが、将軍や御台所たちの書画がどれも見事だったのには驚いた。もっとも彼らも一流の教養人だったのだと言えば、それまでだが。日米和親条約の想定問答集にpresidentをちゃんと大統領と訳してあった。(2008/10/15)

★剪定

 庭木が伸び放題に伸びている。庭師を頼むのは高いから自分でやることにした。先ずはジンチョウゲのシーズンが終わったので、これを元通り丸く刈り込みたいと思った。ところが、一方から見ると丸くても、別な方向から見ると丸くない。あちこち切っているうちに、だんだん小さくなってしまった。
 それで思い出した。昔、渋谷の隣、神泉駅の近くに理容学校があった。貧乏学生の巣くう東大駒場寮、寮務室で無料理髪券をくれる。これを持って行けば、その理容学校で無料で散髪してもらえる。要するに実習生のモルモットである。右を切りすぎては、それに合わせるつもりで左を切る、今度も切りすぎ、だんだん短くなる。とうとう泣きべそをかき始めた。後ろに控えていた講師の先生がやってきて、何とか格好をつけてくれた。庭木の剪定も最後は庭師にお世話になるのだろうかと、可笑しくなった。(2008/10/16)

★時計草

 今日は上天気、山川のフラワーパークかごしままで出かけた。ここは何しろ広い。東京の夢の島熱帯植物館など比べものにならない。心地よい浜風に吹かれながら園内を散歩した。時計草が咲いていた。パッションフルーツを食べたり、ジュースを飲んだことはあるが、花を見たのは初めてである。なるほど時計のように見える。蛇もまだ元気に動き回っていた。南国の蛇は冬眠時間が短くて寝不足にならないのだろうか。(2008/10/17)

★校区運動会

 この団地に2つめの小学校が出来たとき、町内会は2つに別れて校区ごとに運動会をするようになったとのこと、今日は20周年記念運動会である。日本晴れで絶好の運動会日和、今回初めて参加した。中高年向けの競技に出場させられたが、高齢者・障害者向けの種目にも参加せよという。俺たちは高齢者ではない、強いて言えば前期高齢者だなどと言いつつ出て、お土産をもらって帰った。(2008/10/19)

★キオビエダシャク

 わが家のイヌマキにも2・3年前からキオビエダシャクが着いて困っている。薬剤を散布して少しおさまった。テレビニュースによると、知覧の武家屋敷群の庭木がやられて大変らしい。昔は、南西諸島だけにいて本土にはあまりいなかったとのこと。やはり温暖化が身近なところまで忍び寄っているのだろうか。(2008/10/21)

★環境未来館

 甲突川河畔にかごしま環境未来館が新しくできたという。早速見に行ってきた。お金をかけただけあって施設は立派である。展示内容のほうはthink globallyだけで、act locallyがない。つまり、鹿児島らしさがなく、これでは名称から「かごしま」を取ったほうが良いのではないか。地球儀コーナーも説明不足だし、間違った説明もあった。地下水を利用した空調施設だそうだが、深井戸からポンプアップするのならエネルギーを使うし、自然水位なら河畔だから、それほど水温は地表水と変わらないだろう。うまく働くのかとちょっと心配になった。(2008/10/24)

★グランドゴルフ

 校区の運動会にでたご縁で、ご近所の方にグランドゴルフに誘われた。毎週土曜の朝、一番近くの公園に集まるという。生まれた初めてやってみた。力加減、球の方向などなかなか難しい。それにこの公園も出来たときには無かった芝草がところどころ生え始めて、そこで止まったり、カーブしたりする。悪戦苦闘、しかし、ご近所の方々と親しくなれて楽しかった。どうも私が最年長のようだった。(2008/10/25)

★知的散策マップ

 何しろご隠居は金はないが時間はある。データベースづくりも一段落したので、あちこち出かけたい。しかし、そこは持って生まれた性、地質屋根性が抜けない。どうせ行くなら、地質の観察できるところか、名所旧跡がよい。そこで、県立博物館や鹿大博物館のホームページを見たが、場所が特定できない。やむなく知的散策マップを自作することにした。Google MapやYahoo Mapなどネットで調べると、旧跡はたいてい出てくるが、悔しいことに地質関係の天然記念物所在地は出てこない。要するにジオがまだこの国では市民権を得ていないのだ。(2008/10/26)

★毛虫退治

 今度はキオビエダシャクとは違う小さな毛虫が庭木を食い荒らしている。キオビエダシャクの幼虫に効いた消毒液をかけてみたが死なない。はて、これはなんだろうか。醜いアヒルの子のようにきれいな蝶になるのか、はたまた蛾になるのか、などと言いつつ、枝ごと切り落とした。紅葉の上に覆い被さっていたので、事のついでである。(2008/10/27)

★蒲生の大楠

 吉田貝層を見に行ったついでに、蒲生八幡神社の大楠を見に回り道をした。何年ぶりかで見たが、日本一と称するだけあって、見事である。幹周り24.2m、樹高30m、樹齢1,500年という。老木どころか、節くれ立った瘤が圧倒的な迫力で迫る。人間も年を取ってもこうありたいものだ。もちろん、よく見ると、樹医の手当の跡がわかるが…。(2008/10/28)

★弥生式住居跡

 知的散策マップを作っていて、郡元に県指定の史跡「弥生式住居跡」があることを知った。すぐ近くに30年も勤めていたのに恥ずかしい。早速、一之宮神社に参詣した。本殿横にそれが保存されていた。しかし、覗いてみたが、柱穴など全然わからない。
 この周辺は旧田上川の扇状地、鹿大構内の玉利池は、もともと伏流水が湧き出したところである。鹿大理学部2号館建設の際には竹編みと粘土で固めた灌漑用水の遺跡が出土した。きっと快適な環境だったのだろう。(2008/10/29)

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更新日:2008年10月29日