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鹿児島のご隠居(2008.09)


★猛烈な雨

 今日は防災の日である。テレビでクイズをやっていた。「猛烈な雨」の定義である。「バケツをひっくり返したよう」か「滝のよう」だと思っていたが、正解は「息苦しくなるような圧迫感がある」とのこと。それで思い出した。昔、埼玉県防災学習センターを訪れたことがある。防災館のはしりだった。確か暴風雨の体験ができる最初の施設だったように記憶している。鹿児島から来たというので、枕崎台風を経験させてくれるという。合羽を着て握り棒にしっかりつかまった。ところが風雨が強くなった途端、ビニール合羽のチャックがビリビリと外れて、びしょ濡れになった。その時は真夏だったから、裸で書籍コーナーを見ているうちに、女性職員がホンコンシャツにアイロンをかけてくれた。館長さんが平謝りに謝ってくれたが、こちらは得難い経験をして、腹など立たなかった。(2008/9/1)

★敬老パス

 鹿児島では古稀になると敬老パスをくれるという。それを思い出して、市役所に手続きに行った。かつては市内のバスは無料だったが、今は1/3負担らしい。無料時代には、通勤ラッシュを過ぎるとお年寄りがたくさん乗ってきた。図書館やデパートに行くのだという。家に引きこもっているよりも健康的で医療費軽減につながるだろうし、シルバーマネーも世の中に出ていくことになり、恐らく経済効果としては十分ペイすると思ったものだが、目先の予算削減に目を奪われたのだろう。当世は当期決算至上主義、短期の利益追求で、長い目で物事を考える人がいなくなった。国家百年の計を考える政治家や官僚がいなくなったのは問題である。(2008/9/2)

★霧島市研修会

 霧島市職員研修会でジオパークの研修をやるという。お邪魔することにした。鹿大の井村さんがジオパークの講演をしたが、前置きに先日来の新燃岳噴火のことと霧島火山の噴火史の話があり、一層身近に感じたようだった。講演の後、私がちょっとコメントをした。その後庁舎8階のレストランで市長さんにご馳走になった。片方に霧島連山、反対側に桜島を見渡すことができる眺望絶佳のレストランである。(2008/9/3)

★蜂の巣

 わが家は中学校の正門前にある。女子中学生が3人連れでやってきて、わが家の生け垣に大きな蜂の巣があると知らせてくれた。確かにアカメガシの枝に直径15cmほどの球状の巣がある。うまく見えにくいところに作ったものだ。スズメバチの巣にそっくり。中学の生徒さんたちが刺されたらそれこそ一大事、明日にでも保健所に電話して取ってもらおう。ところが、真夜中、息子が蜂が寝静まった頃を見計らって、噴霧器で殺虫剤を吹き付けた。数匹は逃げて街灯の周りを飛んでいたが、そのうちにバタバタ落ちた。早速蟻が群がってきた。生き物の世界は厳しい。(2008/9/3)
 どうもまだ生き残りがいるらしい。再度真夜中に殺虫剤を噴霧して、翌5日の早暁、早朝散歩の人たちが来る前に孫の捕虫網で巣をゲット。まだ一匹生きていた。しぶとい。(2008/9/5)

★ふるさと考古歴史館

 妻が谷山の病院に検査に行くというので送っていった。近くの市立ふるさと考古歴史館に立ち寄ってみた。敬老パス持参者は無料という。初めてのパス利用である。ちょっと複雑な気持ち。「発掘に見る篤姫の軌跡」という企画展をやっていた。ウイークデーの開館直後、他に誰もいない。館長さんらしき年輩の方が懇切丁寧に説明してくださった。マンション建設に伴って今泉島津家屋敷跡を発掘した直後に、偶然大河ドラマ「天璋院篤姫」が始まったのだそうである。NHKドラマの宣伝のような篤姫館よりも見応えがあった。やはり実物にはかなわない。常設展のほうも今度は女性職員の方がつきっきりで説明してくださった。恐縮。(2008/9/5)

★慈眼寺公園

 妻を迎えに行って、慈眼寺公園を散歩し、ソーメン流しを食べた。風が涼しい。天国である。ここへ来たのは、昔谷山に住んでいた頃だから、もう30年近く経つ。私が紫尾山のフィールド調査の際捕まえてきた亀を子供たちに見せてから、ここに放しに来た時である。子孫が住んでいるだろうか。今考えると、生態系を乱したのかも知れない。外来種ではなく、同じ鹿児島の亀だから大丈夫だろう。(2008/9/5)

★児玉美術館

 折角谷山まで来たから児玉美術館を見ることにした。郊外の山の中にあった。竹が見事である。梅やマンサクもきれいらしい。企画展「山下三千夫-風景画の変遷-」をやっていた。年齢順に並んでおり、画風の変化がよくわかる。ちょうど児玉理事長さんが来ておられ、薩摩焼の説明を丁寧にしてくださった。知らないことばかりで大変勉強になった。亡父が焼き物が好きで、鹿児島に来た際、あちこちの窯元に連れて行ったことを思い出した。それにしても理事長さんの優しいお顔と語り口には感心、きっと優しいお医者様だったのだろう。帰りには、栗までたくさん頂戴した。これにはいたく恐縮。(2008/9/5)

★紅葉マーク

 昨日始めて敬老パスを使った。それで思い出したのは紅葉マークである。早速道交法を調べてみた。後期高齢者は表示を義務づけられており、罰金も取られるが、70歳以上は努力義務があるとのことだった。そこで家人に紅葉マークを買ってきてもらった。「落ち葉マーク」「枯葉マーク」などと揶揄の声もあるという。実物を見ると,さすがにちょっと感慨がある。自分では今まで同様、運転には何ら支障がないと思っているが、多分反射神経など大分鈍っているのだろう。心しなければと思った。(2008/9/6)

★マリンポート

 新栄町まで出かけたついでに新しくできたという人工島「マリンポート」を見学に行った。桜島が目の前に見える絶景の地だが、人はほとんどいない。港湾施設も小さな木造平屋建で無人である。年に何回か豪華客船が入港するという。これでは確かに税金の無駄遣いと言われても仕方がない。造った以上、緑地公園化して、市民の憩いの場として活用したらどうだろう。(2008/9/7)

★好きな教科

 文科省にいる卒業生から小中学生の「好きな教科」に関するアンケート結果をいただいた。5年生から中3までの調査である。全学年を通じて理科が断然トップ。子供は生まれながらのファーブル、理科が好きなのである。高校に行くと早くから文系・理系と分けられ、受験に役立つ教科だけ詰め込まれる。しかも座学中心の暗記教育である。これではいわゆる「理科離れ」になって当たり前、何とかしなければならない。先日もテレビで、日の出や夕日を見たことがない子供が半数近くいると報道していた。都会の子供なのだろう、唖然とした。子供は自然の中で健やかに育てたいものだ。(2008/9/10)

★千畳敷

 9月も中旬になったというのに32度、涼しい霧島に逃げ出した。今まで行ったことのないところに行きたいと、丸尾自然観察路を歩いた。丸尾滝の上流に千畳敷という河原があった。ここは溶岩だというのに、怪しげな火砕流の解説看板が出ていた。環境省もこうした看板を立てるときには地元大学の専門家に相談すれば良いのに。(2008/9/11)

★硫黄山

 いつもの散歩コース、不動池から六観音御池コースに行く途中、何年ぶりかで硫黄山に立ち寄った。何と小地獄も大地獄も噴気が出ていない。昔だったら立入禁止のところも歩けた。大地獄の底には草まで生えている。新燃岳に活動が移り、こちら側の活動は静穏化したのだろうか。(2008/9/11)

★丸池湧水

 六観音御池や霧島高原キャンプ場は寒いくらいに涼しかったが、下界はやはり暑い。そこで、湧水町の丸池公園に行くことにした。栗野町という山の名前を止めて、湧水町にしたからには、よほど湧水が自慢なのだろうと思ったからである。確かに名水百選に選ばれただけあって、透明度はすばらしいし、水量もものすごい。13日には竹灯籠を1000本もつけて「感謝の夕べ」をやるという。付近一帯の水田の水源になっているから、湧水に感謝するのだそうである。「湧水まつり」ではなく「感謝の夕べ」という名称がよい。都会人と違って、自然の恵みに感謝する気持をまだ持ち続けているのがすばらしい。(2008/9/11)

★さわやか

 関東から友人がお見えになり、その甥御さんとも会った。オーストラリアの留学から帰り、職を探しているという。向こうでは火山関係の翻訳をしていたらしい。就職浪人といった暗いイメージや焦りは全くなく、もっといろいろな経験をしてステップアップし、将来的には国際関係の仕事をしたいと夢を語っていた。近頃の青年には珍しく、さわやかな印象を受けた。日本の将来も捨てたものではない。(2008/9/14)

★親心

 台風が接近しているためか、頻繁にテレビの天気予報を見る。その時、ついつい娘の住んでいる北海道の天気まで確かめる。結婚しているのだから嵐になっても旦那が守ってくれるだろうし、第一、小学生の子もいる立派な中年おばさんである。もう子供ではないと理屈ではわかっているが、やはり気になる。
 近所に最近ご主人を亡くして独り暮らしをしているご婦人がいる。その80歳を超えたお母さんが、心配して毎日電話してくるという。留守だと、何かあったかと駆けつけて来られる。親の過干渉などとほほえましく見ているが、程度の差こそあれ、親心は自分も同じだと笑ってしまった。(2008/9/16)

★風構納物

 明日か明後日、台風が上陸するという。妻がスーパーに買い物に行ったら、棚が空っぽだったという。皆、籠城に備えて、食料品や防災グッズなどを買い占めたのだろう。さすが台風常襲地帯の鹿児島市民である。備えがよい。実は、江戸時代、薩摩藩には年貢の一つに「風構納物」という制度があった。台風時に備えてさまざまな資材を備蓄していたのである。こうした先祖の知恵が受け継がれているのであろうか。(2008/9/17)

★肩すかし

 今夕から明日未明にかけて台風が上陸するという。市内の学校も午後は休校になった。わが家も雨が小やみになった時を狙って、家中の雨戸を閉め、各部屋に懐中電灯を配置した。ところが鮮やかな夕焼け、雨も止んだ。はて、台風の目に入ったのか。テレビのスイッチを入れたら、台風は大隅半島の南側を通過している。肩すかしを食らったのだ。ヤレヤレ予報が外れて良かった。予報が良い方に外れた場合、休校になった子供たちは大喜びだし、大人も気象台を恨む人はほとんどいないだろう。これが地震予知の外れだったらどうだろうか。損害額何百億円などと新聞で書き立てられて、気象庁は言い訳に大わらわになるに違いない。(2008/9/18)

★鹿児島県深井戸データベース

 鹿大第1回卒業生で地下水の大家がおられる。永年集められたたくさんのデータが陽の眼を見ないのは惜しい。インターネットによる公開なら印刷費もかからず手軽だし、利用者側にとっても便利である。公開には法的にやっかいな問題もつきまとうが、ともかくネット用の電子データを作ることにした。作業としては、①2.5万地形図にプロットされた位置から緯度経度を読み取ること、②ボーリング会社ごとにまとめられている井戸台帳を1本ずつ分割してpdfファイルを作ること、③Google Mapと重ねるためにAjaxデータを作成することなどがある。③のデータさえ作っておけば、本格的なWeb-GIS公開は容易である。この10日間ほどかかりっきりになって、ようやく完成した。いろいろなテクニックを使って省力化を図ったが、1番目の位置情報読み取りは電子国土を使ったけれど、結局、手作業が基本である。老眼にはきつかったし、腰も痛くなった。ヤレヤレ。(2008/9/19)

★考古歴史館秋祭り

 谷山の考古歴史館で秋祭りがあった。篤姫の講演も聴きたかったが、伝統芸能も見たかった。鹿児島では六月燈以外にお祭りを見たことがないからである。東京はあちこちに小さな神社があり、町内会単位のお祭りが年中ある。各町内会ごとの神輿もある。鹿児島も古い城下町なのだから、伝統芸能もあるに違いない。中山町の虚無僧踊りは武術の練習のようだった。さすが薩摩である。谷山漫才「恵比寿大黒」は生粋の鹿児島弁、半分程度しかわからなかったが、七ツ島の一口蛸の話が出てきた。今、七ツ島は埋め立てられ、蛸は捕れない。小松原のような地名も残っており、かつて谷山は風光明媚な海岸だったようだ。(2008/9/20)

★

 テレビで五木寛之さんのインタビュー番組を見た。「無気力な人は鬱にならない」との言にびっくりした。「鬱」とは鬱蒼・鬱勃などという言葉があるように、こんもりと茂っているというのが原義である。盛んな気を無理に押さえ込んでいるため、中で発酵してメタンガスのようなものがふつふつと生じてエネルギーが充満している状態が鬱なのだという。なるほど。バブル期の躁の状態から現在は鬱の時代になった。五木さん流に言えば、これをあまり悲観的に考える必要はない。やがて、充満したエネルギーが爆発する時期が来るであろう。(2008/9/26)
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更新日:2008年9月26日