21世紀に向けて鹿大構内基盤整備始動!

 風致委員会委員長 岩松 暉(『鹿大広報』No.134, p.18,1994)


 鹿大郡元構内は何ともうす汚れている。桜島の降灰という自然条件だけではない。老朽建物が雑然と並んでいる上に、緑は少ないし、道路はでこぼこ、側溝は高等農林以来の無秩序のままだ。おまけにバイクがわが物顔に走り回り騒音をまき散らしている。これでは受験生ががっかりして入学辞退したとの話もうなずける。
 そこで、井形前学長時代に21世紀キャンパス再開発を検討するマスタープラン委員会が設置されると同時に、風致委員会でも共通経費から環境整備費を拠出していただいて基盤整備に取りかかった。毎年600万~1,000万円という額ながら、それでも外周の植栽、イチョウ並木側溝の整備、農学部・水産学部ソテツ園の整備など少しずつではあるが実施してきた。しかし、委員会の年来の夢は、21世紀へ向けて幹線道路網の整備など緑豊かな学園づくりのインフラを今のうちから整備しておくことであった。建物がその時々の政治力学であちこちに建てられた後、隙間に埋め草として木を植えるのが風致ではないとの発想である。とくに、鹿大の顔であるヤシ並木を抜本的に整備して歩行者天国にし、玉利池や植物園と共に学生教職員が憩える広場を作りたいと熱望していた。
 この願いが通じたのか、共通経費を支出して(身銭を切って)環境整備をしてきた自助努力が認められたのか、今年度補正予算でヤシ並木を中心としたモールの整備費が付いた。「豊かな屋外環境整備事業」の一環である。「ゆとりと潤いのある人間的かつ文化的な環境として再生し、キャンパスのアメニティーの向上を図る」というのが趣旨である。単なる舗装ではなく、「大学広場及び大学の森の整備」もうたわれている。大・中・小規模の3ランクあり、鹿大は1億円強の大規模事業に格付けされた。こうした経緯を経て現在工事が進行中であり、多大のご不便をおかけするが、いましばらくご辛抱願いたい。
 その他、ヤシ並木だけでなく、さまざまな改善が行われようとしているので、この際お知らせする。
 井形前学長のご寄付で大学本部前農学部1号館横に桜並木が植えられる。桜ヶ丘キャンパスに比べて桜がないのがさびしいとのご意向を酌んで、風致委員会で樹種を検討した結果、南国の低地でもよく育つ緋寒桜(カンヒザクラ)を選定した。近々植栽の予定である。毎年卒業式の頃になると鮮やかな緋色の花を咲かせることであろう。井形先生に深く謝意を表する次第である。
 なお、その後の追加補正で、運動場の屋外照明設備の設置が認められた。90分5時間制の導入によって、サークルの課外活動時間が夜にずれ込む恐れが出てきた時だけに朗報であろう。これは陸上競技場だけでなく、野球場・テニスコートなどすべてが該当する。
 その他、建物出入口の段差解消(身障者用スロープの設置など)や身障者用トイレの設置、構内案内板の設置などが実施される由である。
 現在中央図書館の改築が進行しているし、工学部門脇には稲盛ホールが建設中である。国際交流会館や教育実践研究指導センターなども建設される。教育学部食堂も新築され営業を開始した。ヤシ並木の抜本的改良と相俟って、郡元キャンパスは面目を一新するに違いない。21世紀に向けてのインフラ整備が着々と実行されつつあると言っても過言ではないであろう。
 しかし、ハード面はどんなにきれいになったとしても所詮入れ物に過ぎない。大学はやはり中身が問題なのである。ご存知のように現在組織改革が問題になっている。全学の英知を集めて、新しい世紀の付託に応え得る斬新な体制を築きたいものである。学生の皆さんもこの大学の中でいかに充実した学生生活を送るか真剣に模索して欲しい。「ボクの(私の)青春時代は輝いていた」と後年胸を張れるようがんばろうではないか。
 学生の皆さんにお願いを一つ。少なくともカラーペーブメントの上をオートバイが爆音を立てて走り回るといったことだけはやめて欲しい。「大学の自治」とは、大学人は自らを律することができるという前提があって成り立っているのだから。良識に期待したい。
 最後に、予算獲得時の対文部省折衝から休日返上の積算・設計・施工管理と献身的に働いてくださった本部事務局の方々のご苦労に心からお礼を申し上げる。

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更新日:1997年8月19日