岩松 暉著『残照』3


メンタルテスト

 最近は就職試験でメンタルテストを実施するところが増えているという。心理テスト専門業者に依頼して機械的に行い、それで荒ぶるいした後、本格的な入社試験をするらしい。会社の人に理由を聞いてみた。最近の新入社員はメンタルな点で問題を起こす人が増えてきたので、チェックするために行っているとのことだった。確かに大学にも不登校などメンタルケアを要する学生が以前よりずーっと多くなってきたのは事実だから、その理由はうなずける。本当に精神分析医のお世話にならなければならないようなケースは、ふるって当然だろうが、どうも単なる内気な人や寡黙な人が落とされている例もある。
 しかし、あまり型にはまった人間だけを集めるのもどうかと思う。個性的・独創的と型破りは紙一重である。はみ出し者が大きな仕事をする例も多い。寡黙でこつこつ努力するタイプの人間は一般に口べたで社交的ではないが、会社にとってはなくてはならない人材になることもある。第一、「人が変わった」という言葉が存在するように、人間は変わることができる。あまり固定的機械的に見ず、本人のプロとしての力量と資質を見て採用していただきたい。大学教師としてのお願いである。

(1999.6.20 稿)


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更新日:1999年6月20日